バイオリソースニュースレター BioResource Now!
  April 2014
Vol.10 No.4
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 リソースセンター紹介  <No. 51>
NBRP 「病原微生物」
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 じょうほう通信 <No.87>
脆弱性情報収集のお役立ちサイト紹介
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 今月のデータベース NBRPカイコ変異体データベース
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バイオリソース関連サイト
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リソースセンター紹介  <No. 51>

NBRP「病原微生物」

矢口貴志 (千葉大学真菌医学研究センター バイオリソース管理室 室長)

代表機関:
  千葉大学真菌医学研究センター(真菌・放線菌)
分担機関:
  大阪大学微生物病研究所(細菌)
    岐阜大学大学院医学研究科(細菌)
    長崎大学熱帯医学研究所(原虫)

  事業の目的

感染症対策への必要性が高まる昨今、感染症に関する教育や基礎研究の他、新しい診断薬や薬剤の開発研究には、標的となる質の高い病原微生物の菌株が必要となります。その病原菌すなわち細菌・真菌(含む放線菌)・原虫の収集、保存、提供を行っています。

(1) 基準株(あるいは標準株)の充実、(2) BSL 2、3 の高度病原菌の収集、(3) これまで感染例の報告がある菌種の網羅的収集、(4) 重要な菌株の遺伝子情報の整備を実施することにより、今後起こりうるいかなる感染症にも対応可能な病原微生物コレクションを目指しています。
いずれの機関においても、医療機関との連携、臨床現場へのサポート(分離菌の同定、薬剤感受性試験の実施、病原因子の検出に関する協力等)を通じて、現場から臨床株の提供(菌株寄託)を受け、分子的、形態的、生理的な菌学情報、臨床情報などを付加し、保存しています。そのため、研究もしくは教育用などの使用目的に合わせた、質の高い菌株を提供しています。

  各機関のコレクションの特色

千葉大学真菌医学研究センター(真菌・放線菌)

病原真菌、放線菌の世界的な規模のコレクションです。深在性真菌症原因菌であるAspergillusCandidaCryptococcus、白癬菌の他、高度病原性のCoccidioides immitis(第3種病原体)など輸入真菌症原因菌について、新鮮な臨床株を中心に網羅的に収集し保存されています。病原放線菌による感染は、その症状が真菌症に酷似していることから、真菌症に含めて扱われていたことから、Nocardiaをはじめとする病原放線菌も保存しております。

大阪大学微生物病研究所(細菌)

病原性大腸菌群、ビブリオ属菌、その他腸管病原性を中心とした標準株と臨床分離株の世界的なコレクションです。国内でのアウトブレーク時、あるいは海外旅行者から分離された腸管感染症原因菌も多く保存されており、各菌株の性状、病原因子についての情報も豊富です。
Escherichia coli (EHEC O157: H7)、Vibrio parahaemolyticus (KX・V 237)、Streptococcus pyogenes (SSI・1)、Bordetella bronchiseptica (RB50) などのゲノム株の保存提供も実施しています。

岐阜大学大学院医学研究科(細菌)

病原性細菌基準株の保存機関としては国内最大で、ヒトに対して病原性を有する細菌菌種の 80% を保存しています。無芽胞嫌気性菌、好気性非発酵性グラム陰性菌を系統的に保存するとともに、BSL2-3 特定病原体、日和見病原体、教育用弱毒株および薬剤耐性株を収集しています。
また、保存されている日和見病原細菌の中から、世界でもまだゲノム解析が完了していない菌種を中心に約 400 株を選定し、これらのゲノム解析を進めております。

長崎大学熱帯医学研究所(原虫)

ヒト寄生性のアメーバ原虫をはじめ病原性原虫の収集、保存、提供を実施しています。この事業は他には米国の菌株保存機関(ATCC)が実施しているだけで、世界的にも貴重なコレクションです。この特徴は、全国関連機関の協力を得て我が国全体の保存原虫の登録がなされていることです。
原虫感染症であるアフリカ眠り病、アメリカ・トリパノソーマ症、リーシュマニア症、アメーバ症やマラリアなどは「世界から顧みられない熱帯病」や「今なお制圧困難な感染症」と言われ、研究機関への新鮮分離株の提供は非常に重要です。最近の研究成果の一つとして、国内外のサルから新種の腸管内寄生アメーバ原虫 Entamoeba nuttalli の分離に成功しました。サル類おけるアメーバ原虫感染の実態を明らかにすることは人獣共通感染症対策からも重要です。

Fig. 1
 病原細菌データベースの構築

2013 年度より、日本細菌学会内に「アドバイザー委員会」を立ち上げました。その委員会では、NBRP の病原細菌部門として目指す新しいデータベースの内容について議論し、安全性を高めたワクチン株や教育用高度病原微生物のレベルダウン株の作成のほか、日本細菌学会に所属する分譲機関と連携して、全国のプロジェクト株に JNBP(Japan National Bioresource of Bacterial Pathogen) 番号を付与し、今後はこの番号で菌株情報を管理する予定です。さらに NBRP で今後収集すべき菌種の候補と収集方法について意見を集め、ユーザーの求めるリソース株を積極的に収集していきます。

  Fig.2
細菌の DATABASE の項目
  病原真菌・放線菌ギャラリー

広報活動の一環として、千葉大学真菌医学研究センター HP に、「病原真菌・放線菌ギャラリー」を開設し、コロニーや光学顕微鏡および電子顕微鏡下での観察像を菌学的な解説とともに公開しています。教育目的として利用できますので是非ご覧ください。
http://www.pf.chiba-u.ac.jp/gallery/index.html
(出版物などにご利用の場合は、 矢口貴志(バイオリソース管理室長)
t-yaguchi@faculty.chiba-u.jp  までご連絡をお願いいたします。)

  Fig.3
病原真菌・放線菌ギャラリー

 じょうほう通信  <No.87>

脆弱性情報収集のお役立ちサイト紹介


皆さんがお使いのソフトウェアに脆弱性はないでしょうか? 悪意ある第三者に脆弱性を利用されると実害が生じます。しかも、脆弱性は様々な要因が組み合わさる事で発生するため、常に最新情報に目を光らせ、素早く対処しなくてはならず、なかなかやっかいです。
多くの方は常に最新のソフトを使用する、ソフトの自動更新を行う、情報セキュリティソフト(アンチウイルス、ファイアウォール等)を実行するなど自衛していると思いますが、今回は一歩進んで脆弱性情報を積極的に収集するために役立つサイトを紹介したいと思います。

① JPCERT   URL: http://www.jpcert.or.jp/
脆弱性の注意喚起や、情報セキュリティの脅威に関する早期警戒の連絡、脆弱性対策情報、一週間のセキュリティ情報を纏めたWeekly Report、インターネットの動向をグラフにしたインターネット定点観測などがあります。

② DDoS MAP   URL: http://www.digitalattackmap.com/
Googleが運営しているDistributed Denial of Service attack (DDoS)の観測サイトです。国単位の表示であるため具体的な対策には役立ちませんが、誰でもDDoS攻撃を世界スケールで俯瞰して確認することができます。

例えば、昨年の9月16・17日の観測結果は以下のリンク先から閲覧できます。
2013/9/16: Digital Attack Map - DDoS attacks on 9/16/2013
http://www.digitalattackmap.com/#anim=1&color=0&country=ALL&time=15964&view=map
2013/9/17: Digital Attack Map - DDoS attacks on 9/17/2013
http://www.digitalattackmap.com/#anim=1&color=0&country=ALL&time=15965&view=map

③ JVN   URL: http://jvn.jp/
PCERTとIPAが共同で運用している脆弱性関連情報の提供サイトです。
JPCERTの注意喚起より提供される分量が多く内容も専門的になっています。
JVN iPediaではライブラリ等の脆弱性情報も提供されているためサーバ管理者やソフトウェア管理者にも役立ちます。例えば、Cisco社製品を使用しているならば、「Cisco」で検索するとCisco社製品の脆弱性情報をまとめて確認する事ができます。
各脆弱性の詳細ページでは脆弱性の内容や、危険性を深刻度で表したり、脆弱性の影響を受けるシステム情報を提供したりしています。そのため、管理しているサーバ機器やソフトウェアへの影響が把握し易くなっています。
余談ですがIPAの情報セキュリティページ (URL: http://www.ipa.go.jp/security/)では脆弱性対策に役立つ情報が定期的に配信されています。こちらも合わせてご覧ください。

脆弱性情報を提供しているサイトをご紹介しましたが、皆様の情報セキュリティ向上に少しでも役立てて頂ければ幸いです。
(渡邉  融)  

 今月のデータベース

NBRP カイコ変異体データベース

Bacillus
・系統数:  456
・遺伝子数(対立遺伝子) :  343 (590)
        (2014年3月現在)
DB名: Silkworm Base
URL: http://www.shigen.nig.ac.jp/silkwormbase/
言 語: 日本語  英語
オリジナルのコンテンツ:
  ・研究用系統リソース情報(変異体)
・遺伝子/対立遺伝子/原因遺伝子情報
・幼虫期間情報、人口飼料摂食性
・形質特徴による情報分類、連鎖地図
・おかいこさま(ニュースレター)など。
特 徴: 年間5期の飼育スケジュールに沿って、リソースの Webオーダーができる。
卵、幼虫、蛹、繭などの多数の画像が公開されている。
連携DB: RRC(成果論文データベース)
DB構築グループ: NBRPカイコ、NBRP情報
運用機関:  国立遺伝学研究所 生物遺伝資源センター
DB公開開始年:  2005年      DB最終更新年:2014年

現役開発者のコメント:NBRPカイコ変異体データベースには、100年の歴史を反映したリソース情報が格納されており、データベースワーキンググループが中心となって、より使いやすいデータベースを目指して改良を重ねています。「リソースを使った成果論文」から「リソースの分譲依頼サイト」のスムーズな流れも整備できました。トップページのバナーからは「野蚕」と「DNAクローン」の各リソース分譲サイトにもリンクしています。素人目に見ても魅力的な画像が沢山あり、しかもすべての画像にはコモンズ証へのリンクがついています。最近は視覚的効果をより高めるために頭を悩ませることも多いのですが、手ごたえも同時に感じています。今後も改良を重ねていく予定ですので、ご意見ご要望がございましたらページトップの「お問い合わせ」よりお気軽にご連絡ください。