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生物 / 真核生物 / 植物界 / 灰色植物門 / 灰色藻綱
Glaucocystis(NIES-966, 1369, 1961, 2141)
Gloeochaete
Cyanoptyche
Cyanophora(NIES-547, 763, 764)

灰色植物は確実なものとしては4属数種のみが知られる小さなグループであるが、葉緑体の進化を考える際に興味深い生物群である。基本的に全て単細胞性であり、自由遊泳性 (Cyanophora) または粘液質やセルロース性細胞壁に囲まれた不動性 (Glaucocystis など)。二分裂または遊走子・胞子形成によって増殖する。有性生殖は未知。遊泳細胞は細胞亜頂端腹面から生じて前後に伸びる不等運動性の2本の鞭毛をもつ。

灰色植物の葉緑体はシアノバクテリアに似た外見をしていることからシアネレとよばれ、古くから研究者に注目されていた。微細構造的にも、灰色植物の葉緑体の内膜と外膜の間には真正細菌(シアノバクテリアを含む)の細胞壁であるペプチドグリカン層があることからその原始性が伺える。遺伝子レベルでも灰色植物のフルクトース 1,6 二リン酸アルドラーゼ(FBA)はシアノバクテリア由来のものであり、紅色・緑色植物では他のものに置き換わっている。また灰色植物には他の植物に見られる典型的な集光複合体タンパク質 (LHC) をもたない。 分子系統解析から葉緑体としては灰色植物のものが最も原始的であることも示唆されており (Reyes-Proetp & Bhattacharya. 2007. Mol. Biol. Evol. 24: 2358-2361)、葉緑体の進化を考える際には極めて重要な生物群である。


1: Cyanophora (NIES-763). 2: Glaucocystis (NIES-966).
Plantae