イネの基礎 - 染色体 - 歴史

イネ染色体の歴史

(Original text and figures were provided by N. Kurata)

栽培イネ(Oryza sativa)の染色体数は、1910年桑田によって2n=24と報告された。その後1930年頃までに、減数分裂期の染色体観察によっても、この数が追認された。ところが、染色体が非常に小型であったため、その形態や構造は1970年代に至るまで 明らかにされず、核型分析の報告はない。わずかに減数分裂 pachytene stage (太糸期)における形態識別の試みがいくつか報告されたに過ぎない。

1978年になり、Kurata and Omura (1978) により新たな染色体標本化法が開発され、初めて核型分析が報告されn=12 の染色体の識別が可能になった。この方法を用いて、2n=24+1 の12種類のtrisomics series について、すべての過剰染色体がkurata et al. (1981), Iwata et al. (1984) により同定され、遺伝子連鎖群と座乗染色体との関係が明らかにされた(図1に一部を掲載)。

(b) Trisomics of chromosome No. 8. Characteristics

(a) 第6染色体のtrisomics: 形態は茎葉やや粗剛、粗粒で有芒

(a) Trisomics of chromosome No. 6. Characteristics

(b) 第8染色体のtrisomics: 形態は葉やや広く濃緑色、直穂、短粒

図1:イネtrisomicsの核型分析と過剰染色体同定

1984年 IRRI (International Rice Research Institute) のKhush et al.により、trisomicsを用いた pachytene 染色体分析により、同じく連鎖群と12の染色体の関係が発表された。ところが、先のグループの結果と幾つかについて一致を見ず、その後6年間の論争となった。1990年にRGC(Rice Genetics Committee) の裁定により、現在の染色体番号が決定された。

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