About - 第2期イネナショナルバイオリソースプロジェクトの概要

イネNBRPの意義
第1期イネNBRPの成果
第2期イネNBRPの目的と事業概要

- 白葉枯れ病抵抗性接種試験の評価について

- 白葉枯れ病抵抗性接種試験結果

イネ属遺伝子資源の収集・保存・提供と高度情報化

イネNBRPの意義

遺伝子資源の重要性を、耐虫性遺伝子を例にとって考えてみましょう。
イネの茎を吸汁する害虫として知られるウンカは、東南アジアからジェット気流に乗って日本に飛来するといわれています。
どんなに抵抗性の高い改良品種を投入しても、数年も経てばウンカ側の遺伝子が変化し、その品種を食害できる生態型(バイオタイプ)のウンカが現れることが知られています。
まさに、害虫と育種家との間のいたちごっこの様相を呈しています。従来の品種改良は、その抵抗性遺伝子の素材を在来の栽培品種に求めていましたが、在来種に含まれる抵抗性遺伝子の種類には限界があります。そこで近年、対象を野生イネに拡大する動きが本格化しています。事実、在来品種には無いタイプの抵抗性遺伝子を野生イネが持っているケースが報告されています。

図1.ウンカによる坪枯れ 熊本県山鹿市 2005. 10. 3.

図1. ウンカによる坪枯れ 熊本県山鹿市 2005. 10. 3

現在、文部科学省主導によるNBRPの下、イネを含む多くの生物で、多様な遺伝子資源を永続的に保存し、研究や品種改良などに利用していくための体制作りが模索されています。
生物の持つ遺伝的多様性は、それぞれの種が長年に亘ってそれぞれの生育環境に適応してきた結果であり(図2)、それらを人間が実験室で再現するのは現時点ではほぼ不可能です。
また、将来的にどのような遺伝子が有用になるかは誰にも判らないので、近視眼的に不要だからといってむやみに遺伝子資源を取捨選択する行為は慎むべきです。
生物資源は、人類共通の財産として守り育てながら、有効に利用していくべきものと考えます。

図2.多様な生態を示す野生イネ(上段)とイネ突然変異体(下段)

図2. 多様な生態を示す野生イネ(上段)とイネ突然変異体(下段)

第1期イネNBRPの成果

  • イネ属は、2種の栽培イネおよび約20種の野生イネで構成されています。
    コメを主食とする日本では、イネ研究が盛んに行われており、世界でも有数のイネ属遺伝子資源を保有しています。
    第1期ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)では、イネ属のほぼ全ての種を網羅する約1,700系統の野生イネ系統を整備しました。また、イネ人為突然変異系統、その他のイネ実験系統を17,000系統以上整備しました。いずれの系統も配布体制を整備し、国内外の研究者に広く利用して頂いています。

第2期イネNBRPの目的と事業概要

第1期NBRPで整備したイネ系統を、継続して提供していくと共に、ユーザーの利便性をさらに高めるような系統情報の充実を図ることを目的とします。また、新たなイネ実験系統の収集・保存も行います。以下は主な事業内容です。

(1) 農業的に重要な形質を中心とした野生イネコレクションの評価

白葉枯れ病抵抗性接種試験の評価について

白葉枯れ病抵抗性接種試験結果

(2) 形態観察や分子マーカーによる野生イネ系統の再評価

(3) 室内でも栽培可能な極早稲品種の人為突然変異系統の収集・保存・提供

(4) イネ実験系統の充実

(5) 新規系統情報のweb公開

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